こんにちは。
明日5/20(木)は休みになりますので宜しくお願い致します。
毎回stacksが開催する写真やアーティストの作品の展示にこのコロナ禍なので観に行きたくても行けず悶々とするばかりでしたが、個人的に今回の入荷はタイムリーで嬉しく、作品をみて心が踊るものがありました。
今現在、GALLERY COMMUNE にてNY 出身のフォトグラファー“Colin Sussingham ”の写真展が開催されています。
“Colin Sussingham ”
NY 出身のフォトグラファー、2019 年に NIKE SB のサポートのもと、2008 年から 2019 年にかけての NY のスケートボードシーンの姿を捉えた写真集『BOYS:A DECADE OF SKATEBOARDING IN NYC』をリリースした Colin が今回新たなテーマに選んだのは、 よりパーソナルなテーマである、彼自身が 2014 年から20 年にかけて行った、6 度のロードト リップのドキュメンタリーでした。
風景や物体、友人、考え、好奇心。ここに記録されているものたちは、Colin のとてもパーソナルな記録でありながら、 時の流れや場所の違いを越えた普遍性を持ち、 皆の記憶へと繋 がる写真ばかりです。
現在も尚続くパンデミックのなか、 皆がかつての日常とこの先の日常に思いを巡らすとき、こ の Colin の撮り溜めた写真の数々は様々な感情を想起させる切っ掛けとなるでしょう。
今回、Colin Sussingham の新作写真集『Disappear Into Earth』 が stacksより出版されました。
そして、写真集に収録された写真を使用したPhoto Teeもリリース。
当店の常連さんにはカメラマンもいらっしゃいますし、何より写真が好きな方々が沢山います。
是非checkしてみて下さい。
PROLOGUE
人の写真を見て、勝手なことはいいたくはないし、そんな資格もないのだけれど写真を見るのは好きだ。一枚の写真からいろんなことを考えたり、夢想したり、思い出したりする。昔はカメラを手に入れて自分でも旅行中に撮ったこともあるのだけれど、現像して受け取るプリントのガッカリ度は半端ないものだった、常に。自分の思い出に残っているその時の印象と、自分が撮った写真がかけ離れすぎていて、俺はそっとカメラを置いた。どうやら自分には写真が向いていないようで、写真を撮るくらいならそのときの情景や感情をダラダラと文字にしたほうが、まだそのときの情景に近いんだと思う。
コリンの写真は違う。スケーターである彼が捉える彼の写真を見ていると、もう絶対に戻ってはこない昔のことを思い出す。それは自分がまだ若く、ふらりふらりとしながら色んなことを夢みたり、その夢から覚めてみたりを繰り返していた頃のことで、移動しながら一日中変わることのない景色を夢中で眺めたり、綺麗な景色に心が震える自分に驚いたり、どうでもいいものに心が揺れたりしたものだった。世界の真ん中にいると思った次の瞬間に宇宙一孤独だと思ったりしたあの頃だ。
きっとそんな時代こそが大人になるってことなんだろうけど。写真は時間を超越するといつも思う。撮られた時期がいつだろうと、どこであろうと、そこに何か自分のいつ抱いたのかさえ忘れていた感情と繋がる瞬間を生み出すのだから。そしてフォトグラファーという奴らは、その瞬間を実にうまく捉える。捉えて、その奥に広がる物語に見るものたちを引きずりこむ。 俺はまだ一度しか会ったことのないコリンの目がファインダー越しに捉えた瞬間の数々を、ページ越しに自分の昔を重ね合わせて見た。コリンの見たインディアナの夕陽はかつて自分がテキサスで見た夕陽となり、過ぎ去った日々の感傷となり、俺自身のものとなる。
そしてそれはこの自由な移動が禁止され、旅という行為が何よりも高価で手の届かないものになった今、俺ができうる最も旅に近い行為であり、旅そのものだった。
野村訓市